オンボーディングは「内定を出した瞬間」から始まっている

オンボーディングは「入社後の研修」ではありません。人が組織の一員になると決まった瞬間、つまり内定を出したそのときから始まる一連の体験です。なぜ“はじまり”を前に倒すのか、時代の変化とあわせて整理します。

ONBOARDING LAB 編集部公開 更新 ◷ 約3分で読めます
オンボーディングは「内定を出した瞬間」から始まっている

「オンボーディング、いつから始めていますか」。そう聞くと、多くの人は「入社日から」と答えます。初日にPCを渡して、就業規則を説明して、配属先へ案内する。それがスタートだという感覚だと思います。ただ、それだと少し遅いように感じます。

そもそも日本では、オンボーディングという言葉が「入社後の研修」とほぼ同じ意味で使われてきました。この訳し方が、いちばん大事な時期を見えなくしてしまっています。

「研修」だと思っているうちは、うまくいきにくい

はっきりさせておきたいのは、オンボーディングは研修を否定するものではないということです。研修も含んだ、もっと広い一連のプロセスを指します。関係づくりや期待のすり合わせ、最初の成功体験づくりといったところまで含めて設計するのがオンボーディングで、研修はそのなかの一つの手段にすぎません。

この捉え方の違いは、そのまま成果にあらわれます。ギャラップの調査では、自社のオンボーディングが「うまくできている」と強く感じている社員は、わずか12%でした。多くの会社で、受け入れが「手続きを流す」だけになっていて、体験としては設計されていない、ということだと思います。

「自社の受け入れはうまくできている」と感じる社員は1割(%)
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出典:Gallup。オンボーディングが「うまくできている」に強く同意した従業員の割合

なぜ「内定を出した瞬間」なのか

オンボーディングの語源は、船や飛行機に乗り込むという意味の「on board」です。つまりその人が組織の一員になると決まった瞬間が起点であって、入社日ではありません。内定を出して、承諾してもらった。その時点で、もう新しい仲間です。

迎える準備を、初日まで待つ理由はどこにもありません。むしろ内定承諾から入社日までの数週間から数ヶ月は、期待と不安がいちばん揺れる時間です。この「空白期間」に何を届けるかで、入社後の立ち上がりはずいぶん変わってきます。

「ゆっくり育てる」が通用しなくなった

ひと昔前なら、立ち上がりに一年や二年かかっても許されました。何十年も働いてくれる前提なら、じっくり育てても十分に取り返せたからです。ところが、いまは新卒も中途も、そんなに長くは在籍しません。ラーニングカーブがゆるやかになれば、次の場所へ移るのは自然なことです。

数年で辞めるかもしれない前提だと、遅い立ち上がりは取り返せないまま終わってしまいます。本人だって、限られた時間のなかで力を発揮したいと思っています。だからこそ、長く働くから大切にするのではなく、短いからこそ、はじまりの一日目を前に倒す意味があると思います。

内定を出したら、その日にできること

大げさな仕組みはいりません。まずは次のあたりから始めてみてください。

  • 内定通知に、事務連絡だけでなく歓迎の一言を必ず添える
  • 入社日を待たず、配属予定のチームやメンターの存在を伝える
  • 入社までの数ヶ月に「何を、どの順番で届けるか」を採用担当と現場で一枚にまとめておく
  • 最初の30日で何を期待しているのかを、入社前のうちにすり合わせておく

次に採用を決めたときに、思い出してもらえたらと思います。オンボーディングは、もう始まっています。

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